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開発本部、メカニカルエンジニアの譚(タン)と申します。
数年前に機械安全研修教育を受けました。数十時間をかけて各種安全規格、安全防護方策やリスクアセスメントの進め方などを勉強しました。それらの内容もさることながら、自分の頭に強く残っているのは、その時講師が説明してくれた技術者倫理です。
私たちが開発している製品に関する法律 / 法令などについては、前述のBlogがありますので、こちらを参考にしてください
(調理ロボットに関わる法令、規格)
技術者の倫理
今回、私がお話ししたいのは、この法律・法令・規格よりもさらに上位の概念である、倫理です。イメージとしては下記のとおりです。
技術者倫理は考えれば考えるほど、奥が深いと思います。
例えば、メカ設計者なら、誰でもQCD(品質・コスト・納期)のバランスに悩んでいると思います。なぜなら、この3条件を同時に向上させるのはとても難しいからです。品質を優先すると、どうしてもコストと納期がオーバーする傾向にあります。逆にコストをむやみに削減すると、品質どころか、最低限の安全さえ確保できなくなります。
技術者の初心
技術者として、このQCDを同時に成立させるために、絶えず自分の技術力を磨かなければなりません。その向上心も技術者が持つべき倫理の一つだと思います。しかし、どうしてもQCDが目標に達成しないと分かったら、皆さんはどうしますか?私は、やはり品質を最優先にすべきだと考えます。
この数年、日本の製造業において数多くの不正が発見されました。完成自動車の不正検査、車の燃費を良く見せるためのデータ改ざん、新幹線の車両にも使っている鉄鋼製品強度の改ざん、偽装免震ゴムを使用したタワマンの解体など、ニュースで連日に大きく報道されていたのに、不正に染める会社があとを絶ちません。これらの不正は、技術者の倫理の前に最低限守るべき法律・法規すら守れていません。先の事例に関する報道を読むと、やはりコストや開発納期が厳しいので、品質をごまかしているというような話がよく出てきます。
どの技術者も最初から悪いことをしたくないはずです。技術者の初心として、良いものを作りたい、お客様の喜ぶものを作りたい、そういう想いで技術者を志していると私は思います。では、なぜ不正に加担してしまったのでしょうか。QCDのせめぎあいの中で、コスト・納期を優先し、品質をおろそかにすることが常態化した結果、法令まで無視するようになったのだと私は思います。コスト・納期は明確な目標が設定されることが多いことに対して、品質は明確な目標が定めにくいところも、品質がおろそかにされることの要因かもしれません。
私は「初心に戻る」という言葉が好きです。技術者の倫理を調べると、「技術者は公衆の安全、健康、福利を最優先する」という文言がよく書かれています。これはまさに技術者の初心と言えるモットーです。何か迷う時、ぜひ技術者の初心を思い出してください。
そんな技術者の初心を具体化したものが、Techmagicにはあります。TechmagicではそれをTechMagic Standardsとして定めていて、下記の5つの項目があります。これはまさに技術者の倫理を具体化したものだと言えます。
①価値創造 ②本質追及 ③プロフェッショナリズム ④透明性 ⑤多様性からの成長
私はこれらを意識しながら普段、開発しています。エンジニアの皆さん、プロフェッショナリズムの精神で、本質を追及しながら、価値創造を生み出す製品を社会にアウトプットしていきましょう。