取り組む目的と現状とのギャップ、及び、想定し得る打ち手のテーマの方向性は、顧客内部で検討されているとしましょう。
・では、その目的を阻害する本質的な課題は何か
現在進行形でお取組みさせて頂いている各種パートナー企業様の傾向、また開発プロジェクトとしてキックオフしなかった多くの企業様への提案~意思決定プロセスを通じて、以下のポイントにあると考えている。
1)改革へのトップのコミットメント
2)人の価値の置き所
3)自動化制約条件の設定
4)技術
1)トップのコミットメント
文字通り、トップが改革の重要性を明言し、浸透させる事であり、そこには〇年後までにどの状態に持って行くという、粒度の細かいものであればあるほど良いと考えます。
ただでさえ、現場の責任者クラスの皆様の現状役割や立ち位置がある中で、既存事業のオペレーションやレイアウト、組織体制等を変える必要がある場合がほとんどであり、その時にそれら現場にまで改革に取り組む意義を共有できている状態にないと、キックオフしても(そもそもキックオフし得ない)うまくいくとは思えません。
幸いにも、弊社と直接契約をさせて頂きともに開発を進めるパートナー企業様には、上記のご理解を頂き、また、お取組み前の段階から徹底してトップのコミットメントと全社への浸透及び、現場の戦略理解を行って頂いていることが特徴といえます。打ち合わせの場でも意思決定が迅速になされ、結果として開発が進みやすい環境にあります。
2)人の価値の置き所
自動化技術を活用した改革とは、言い換えると人や組織にしかできない領域はどこかを明確にすることではないかと考えます。
自動化技術が仮に確立された場合、外食であれば提供する料理自体の差別化はレシピ同様、どこのだれがやっても再現性の高い(とても美味しい)コピー可能なものになり得るでしょう。
しかし、そこには顧客との関係性を構築するためのおもてなしやサービス、料理の味を決める重要な要素である原材料へのこだわりや盛付の美しさ、顧客ごとに対応したパーソナライズといった人だからこそ高いレベルで価値を生み出せる価値は含まれていません。
TechMagicは、今後も今まで以上の速度で食を取り巻く各種自動化技術を開発して参ります。社会実装も、順次されていくでしょう。
その時に、自社(食産業)にとって、人にしかできない価値はなにで、どのレベルを目指すのかの問いこそが、今後の、食を取り巻く改革と共に改めて考えるべき、古くて新しいキーワードになり、同時に新業態構築や競争優位性の源泉になると考えます。
ここが明確になっていないとプロジェクトはスタートしても迷走すること間違いなし。自動化の手段を考えるよりも先に、この点を具体的な従業員の行動レベルで可視化することが重要であると考えています。
3)自動化制約条件の設定
ここまでくると、いよいよ自動化についての議論に入ります。
重要なことは、あるべき未来の姿から素直に逆算し、ゼロベースでロボットフレンドリーなオペレーションを組むことではないかと考えます。
確かに、既存事業では対象とするメニュー、サイズ、人による工程等の制約条件がたくさんあります。我々もそれを全部聞いて理想をかなえたい。ただし、時に、本質的にそれって本当に必要なのでしたっけ?という制約条件も見受けられるのも事実です。
現場の皆さんはその環境にずっと身を置かれているので、無理もありません。
逆にどっぷり現状オペレーションに浸かってないからこその、ゼロベースの発想や提言がテクノロジードリブンでTechMagicから提案致します。
不確実性の高い環境下で、あるべき姿の実現に向けた「改革」(≠改善)は、既存の常識やり方が逆に足かせになる場合もあり得ます。これは、大手企業が特に「傾向として」顕著であり、大きい(オペレーションが確立されている)からこそ変えづらいという側面が確実にあります。
新業態の開発や、ロボフレな環境整備等、聖域なき制約条件の英断/見直しこそが、効果的です。これこそが、プロジェクトを成功させるパートナー企業側の最も重要なポイントと考えます。
企業の現状オペレーションを考えると、時に怒られるような内容を答申させて頂く事もありますが、その際は本当に実現したいことは何だっけ?と、原点と理想に立ち返り、議論できることを楽しみにしています。
4)技術
TechMagic側のポイントですね。3)の内容とも連携して紐づく内容です。
顧客の掲げる制約条件と実現したい「目的」の技術課題に対して、ソフトウェア、ハードの制限なくゼロベースで最適な1からの開発と、最適化した提案を強みとします。
一緒に開発を行うパートナー企業様とは、この3)と4)を行ったり来たりしながら、
環境面の整備と技術のすり合わせをさせて頂いています。
毎回、あるべき姿に向けて、とても柔軟で、時に厳しくも有意義な議論が日々行われています。
そんな大好きなパートナー企業様には、高い視座で議論頂いていることを、改めて感謝しています。