この本を読んで面白いと思ったことは、過去・現在・そして未来という切り口で、料理、人間の心・身体・環境について様々な分析がされていることです。また、分子調理学、食品学、栄養学、生物学、農学、医学、テクノロジー、「食」というテーマを紐解くだけで、様々な学問・知識がリンクしてくることは、「食」というものがいかに人間生活の根源にあるかを考えさせられました。
今話題の、昆虫食や3Dフードプリンタについても紹介されていますが、なぜそういう物が出てきたのか、これまでの歴史の振り返りもあるため、そういう流れがあったのか、と勉強になる場面も多々ありました。
そして、私が一番頭に残ったフレーズは文中で紹介されている、ブリア=サヴァラン著の『美味礼賛』の中にある
「普段何を食べているか言ってごらんなさい。あなたがどんな人だか言ってみせましょう」
という言葉です。人と食は切っても切れない深い関係があり、何を食べたかでその人が分かる、というのは「食は人となり」を示す典型だと思いました。
一方で、この質問をされたとき、「自動調理ロボットで作ったパスタ」と回答されたら人々はどんなことを思うのでしょうか。
まだ世の中に自動調理ロボットが普及していない今ならば、単なる新しいもの好きの人間と思われるかもしれません。一方で、自動調理ロボットが人手よりも早く、美味しく、それでいて安価にパスタを作ることができ、それが世の中の評判になれば、合理的な人間だと思われるかもしれません。
私たちが自動調理ロボットの社会実装をどのような形で実現できるか、それをどのように社会にPRしていくか、それにより「自動調理ロボットで作ったパスタ」を食べた人の印象は大きく変わります。
この自動調理ロボットの社会実装で、社会へよいインパクトを与えられるよう、着実に進めて行きます。
今回のこの書籍をきっかけに、「食」という分野をさらに勉強していきたいと思います。またこのブログでおすすめの書籍を紹介できたらと考えています。
ちなみに私の最近の昼ご飯は、調理実験で作ったパスタ、時々、コンビニで買うカップスープと、パンです。どんな人だかは言わないで、あなたの胸の内にとどめておいてください(笑)